実際の症例にみる「リハ完結システム」の流れ

症例紹介①

患者: 50歳代 男性
診断名: 頸椎症性脊髄症術後
既往歴: 肝硬変
リハ評価: アルコール多飲
現病歴: 2年程前から歩行障害出現し、1年半前に他院にて手術を受ける。自宅へ退院し生活するも4ヶ月前から再び歩行不能となり、3ヶ月前に再入院となる。リハ行い、緩やかに改善するも自宅退院困難で当院へ入院となる。
リハ評価: 患者様の障害像を明らかにして問題点を探り、リハの目標を設定する為の検査です。
この方のリハ評価では、頸椎症性脊髄症による症状と術後1年の時点で増悪した症状に着目し、上肢の運動障害と下肢の錐体路徴候(この2つは頸椎症性脊髄症に見られ易い症状です)、脳神経の検査などを確認し、また詳細な検査の必要性の判断を委ねるため、リハ担当医と相談し専門医への紹介、診察や検査(他院でのMRI検査など)を行いました。最終的には、頸椎症性脊髄症による症状が主であると判断しました。
リハビリの評価では両麻痺(上肢に軽度、下肢に重度の麻痺)が見られ、全身の筋力低下が明らかとなり、この問題点の解決が必要と考えました。
初期
カンファレンス:
リハ評価の結果を踏まえ、担当者の方針を多くのスタッフで検討し、他部署と治療目標を共有します。
初期カンファレンスでは、問題点の予後について話し合われました。下肢の麻痺は改善困難、全身の筋力低下は経過より改善の可能性があるなどの意見が出され、最終的には疾患に由来する症状が強いため、下肢の機能障害などに対するアプローチよりも、代償手段を用いて上肢を利用しての移乗や更衣・整容動作の自立を目的としました。
治療: 問題点を解決し、目標を達成するためのリハアプローチです。筋力増強運動や動作練習を行っていく中で、握力や上肢筋力は3ヶ月経過頃より急激に向上(最終的に握力11kg→23kgなど著明に向上)し、徐々に動作能力の向上が得られ、移乗が自立レベルとなりました。
ウォーキング
カンファレンス:
病棟とリハで協同し、生活に根ざした治療成果や問題点を共有します。
リハ場面にて移乗が自立レベルとなったことから、より生活に近い環境で動作を行うため、病棟Ns立会いの下動作能力の伝達を行い、暫くして病棟生活でも移乗動作が自立しました。
また、眩暈や手関節の痛み、精神面不安定など生活・リハの阻害となるようなことも生じましたが、その都度医師への相談やウォーキングカンファレンスでの検討などで対応しました。
退院前訪問: 今後の生活を見据え、問題点の把握や動作能力の確認を行います。リハは順調に進み病棟生活の自立度も向上しました。
そんな中、MSWの働きにより常時援助スタッフが在中するユニットタイプの生活施設への退院の話が持ち上がり、早速退院先の家屋環境を見に行きました。家屋環境はベッドやポータブルトイレの設置位置を全て決定することが可能であったため、培ってきた能力が十分に発揮できる環境を整えることが出来ました。
目標達成時
カンファレンス:
退院先の情報も把握できた為、不足点などがないか多くのスタッフの意見を参考とする為、目標達成カンファレンスを開催し、生活には問題がないこと、今後はリハを行わずとも現状の能力の維持が可能(リハの中で生活の中で身体機能・能力の維持が可能かを判断していました)であることを確認しました。
自宅退院と退院後訪問:入院から半年後に無事生活施設へと退院となりました。退院後、生活状況を確認する為、再度退院先を訪れ、問題点の把握を行いました。ここではポータブルトイレへの移乗時にトイレが動き、危険性が確認された為、トイレとベッドを固定することで対応しました。
その後も、生活状況を本人様から伺い、生活は安定しており、時に自宅への外泊を行いながら本人様のペースで気ままな生活をされています。
リハ担当者
の感想:
この方は身体機能に顕著な回復を認め、生活施設へと退院し、退院後の生活にも大きな問題を抱えることなく過ごすことが出来ている方です。
システムの流れとしては、とてもスムーズであったと思っていますが、患者様の大きな回復力に救われた面が大きく、当初の予後予測が甘かったと考えさせられました。この方の回復にアルコール多飲が関わった可能性なども目標達成時カンファで指摘されましたが、今となっては知る由もありません。この方に限らず、担当させて頂く方々から勉強させて頂いている毎日です。皆様のお役に立てる様、精進致します
 


 
 
<<音楽療法(MT)について リハビリ情報なんでもコーナー>>

お問い合わせ先/電話:086-526-7870、FAX:086-525-0466、〒713-8103 岡山県倉敷市玉島乙島6108-1 メールはこちらまで。※個人的な病状についての質問にはお答えしかねます。 地図はこちら

診察受付時間:9:00~12:00/14:00~17:00

このページの先頭へ